採択課題

研究代表者
信州大学
特任教授
山田 充彦
Mitsuhiko Yamada
採択課題名

βアレスチンバイアスアゴニストの小児心不全治療薬としての社会実装

プロジェクト概要

成人慢性心不全には多くの優れた治療薬が存在するが、新生児・乳児の心不全に対して有効な薬は現在もほとんどない。研究代表者は、基礎研究から「βアレスチンバイアスアゴニスト(BBA)」が新生児・乳児心不全治療薬となる可能性を発見した。そこで本プロジェクトでは、ヒトでの安全性が証明されている米国Trevena社製BBA、TRV027を社会実装するため、 TRV027の小児心不全治療薬としての世界的独占的製造販売権と二次ライセンス権を同社から受ける為のスタートアップ企業の設立準備を行う。

製品・サービスの概要(申請時)

生理活性物質アンジオテンシンIIは、そのI型受容体(AT1R)を介して細胞内でGq/11とβアレスチンという2種類の蛋白質を刺激し細胞機能を制御する。成人では、Gq/11を抑制することにより心不全を治療できる。しかし新生児・乳児では、 βアレスチンが循環器の子宮外環境への適応を促進するので、これを活性化することで心不全が治療できる。BBAは、AT1Rを介してβアレスチンを活性化し、Gq/11を抑制する薬であり、有望な小児心不全治療薬である。

SU設立に向けた活動計画(申請時)

①Trevena社との契約の締結準備を行いつつ、②TRV027のヒト小児心不全モデルマウス生命予後改善効果を実証し、③全国23中核的小児臨床機関と多施設共同研究で、ヒト心筋のBBA反応性を判定する。低分子BBAの開発にも挑戦する。