採択課題

研究代表者
信州大学
助教(特定雇用)
大塚 隼人
Hayato Otsuka
採択課題名

オンデマンド富化酸素供給用の高速気体分離膜材料の開発製造

プロジェクト概要

本研究シーズはグラフェン包接ゼオライト分離膜によって空気から酸素を濃縮し、酸素濃度が30~50%の富化酸素を深冷分離法やPSA法に比べて低コスト・省エネルギーで製造できる技術である。グラフェン包接ゼオライト分離膜ではゼオライト結晶をグラフェンで包接して、右図のようなゼオライトとグラフェン間の2次元の空間を利用して高速に気体を分離する。そのため従来の気体分離膜と比較すると100倍以上高速に窒素と酸素の分離が可能である。本技術はヘルスケアや下水処理、燃料電池車、工業炉など様々な分野で顧客のペインポイントを解決し、さらに社会的課題である脱炭素に対し大いに貢献できる技術である。

製品・サービスの概要(申請時)

従来の深冷分離法やPSA法による酸素富化技術は広い敷地や大型装置を要し、エネルギー消費が大きい。一方で分離膜による酸素富化技術は、エネルギー消費量が小さいが従来の高分子の気体分離膜は透過量が非常に小さく、富化酸素製造量が著しく小さい。グラフェン包接ゼオライト分離膜による富化酸素製造は省エネルギーかつ大容量の富化酸素製造が可能な方法で、小型化が容易なためオンサイトでの供給が可能である。そのため導入コストが低く、場所を選ばないため多分野での需要が期待できる。

SU設立に向けた活動計画(申請時)

現状1g/月程度の生産量を約5倍に増やし、順次膜分離材料の試験販売を開始する。需要を見定めるとともに、材料の品質の向上を目指す。また顧客候補へのヒアリングを進め事業計画を具体化する。STEP2の支援を経て3年後をめどにSU設立を目指す。